私は、毎日仕事場でFMラジオを流しているので、各番組の様々な話題を耳にするのですが、近年気づいたのは、毎年夏になると、子供の夏休みの自由研究に関する話題が多いということです。リスナーの多くは、自由研究を卒業した大人が大半のはずなのに、この話題が多いことに違和感があります。そして、話の多くは、親が子供の自由研究をどうしたらいいのか悩んでいる質問に番組が回答するなどしていて、何について研究させるべきか、どこまで手伝ったらよいのかなど、親が関わることが前提で話をしているのです。このことは、本質を失っていて、子供が成長する機会を妨げていることを認識しないといけないと思い、今回、記事にさせて頂きます。
子供の自由研究とは
夏休みの長い期間を利用して、子供本人が興味があることを、調査、とりまとめ、作品化、レポート化する。学校から制約は無く、思い思いの方法で進めることができる。普段決められたカリキュラムを受け身でこなす習慣が身に染みている子供にとって、自分自身で何をするのかを決めることは、創造性を育む絶好の機会と言える。ただ、理想的に研究が進む子供は少なく、大半は、何をしたら良いか悩むことになり、満足のいかないものであっても何とか提出期限に間に合わせている。
大切なこと
自由研究は、大半の子供にとって「自身で思うがままに考えて事を進めて良い」とされる「人生で初めてのこと」です。授業でも、習い事でも、運動のチームでも、家の手伝いでも、〇〇をしなさいと指示を受けることが常だからです。自由研究で子供が何をしたら良いかを考えること、何をしたらいいか見当がつかずに悩むこと、このことは、子供にとって、貴重な経験になり、一番の肝であると思います。そのため、この箇所は他の人間が手を付けてはいけないと思います。
出来が悪いとしても何の問題があるのか
私自身も、自由研究はとても苦手でした。夏休みの課題で一番憂鬱で一番出来も悪かったです。普段与えられたレールに沿って物事を進めることは人並み以上でしたが、自由に自分で決めて良いということは何をしたら良いか分からず、本当に苦しみました。
ただ、小~中学生のころに、何をすべきか考える、浮かばずに思い悩んだことは大切な経験であったと思います。この工程に親が関わることは、「子供が貴重な経験をする機会を親が奪っている」と認識しなくてはなりません。仮に親から見て出来が悪いとしても、大きな問題がるのでしょうか。マイナスな点が思いつかないのですが。。
親が関わるとするならば
子供が何をするかで悩んでいる話を聞いてあげて、どう考えると良いのかというように、答えを与えるのではなく、考え方を教える。明らかにマナー違反など場合は指摘する。そこまでに留めるということ。
そして、自由研究の出来栄えが良かろうが悪かろうが、人生に影響しない、大したことないと教えること。周りのみんなが出来が良いなら、それは、大半を親がやっているだけ。普段の工作や授業の発表と照らし合わせたら、本人のものではないことは分かる。のように、考え方を伝えることです。
親に手伝って貰って後悔したという声
先日、FMで、子供の頃、親に自由研究を手伝って貰い、というか大半を親が進めたものが、審査で大賞を受賞してしまった。その時はもちろん、10年以上経過した今でも、後ろめたさでいっぱいで、親に手伝って貰ったことは間違っていたという投稿がありました。そのとおりだと同感します。また、賞をとったからということではなく、親が大いに関わったことが問題であることを見失ってはいけません。
最後に
この件は、学校側もいけないのだと思います。親が関わることを少々は良しとしてしまう学校も少なくないようです。そして、裁量を正しく判断できない、本質を理解していない親が、親主導で進めてしまうからです。小~中学生が作る自由研究のレベルが低いなんて当然のこと。作品のレベルを高めようとするのではなく、「子供が自身で自由に取り組むという貴重な機会」を子供から奪わないで、見守ることが大切なのです。
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